ゼノブレイドDefinitive Edition レビュー

巨神と機神。かつて2体の巨大な神は互いの存亡をかけて争った。長い戦いの末、骸と化した2体の神の体は大地となり、巨神界と機神界それぞれに新たな生命が誕生した。時は流れ、人々の住む巨神界は機械生命体である機神兵によって蹂躙されていた。未来が見える神の剣モナドを手にした主人公シュルクは、復讐のため仲間とともに機神界へ旅立っていくー。

任天堂が10年で2回も移植した異例の作品。ゼノブレイド。

Wii版、New 3DS版と購入したもののクリアまで至らず積みゲー化していたけれど、3度目の正直で遂にクリアした。改めてプレイすると、これ以上でもこれ以下でもない“これがプレイしたかった”と感じるJRPGとして非常に完成度の高い作品だった。その興奮と記憶を記録しておく。

3回目の購入で初めてクリア

ネタバレ含むかもしれないので、これからプレイする人ご注意ください。

壮大な世界観と感情移入しやすいシナリオ・キャラクター

5月末の発売日から週末を中心にプレイし約80時間。オフラインのRPGとして、単純にエンディング到達にかかった時間は最長クラス。それなりにサブクエストをこなしたので、メインストーリーのみ突っ走ればマイナス20時間くらいだろうか。(移動速度をアイテム装備で変えられることはクリア後知ったので道中で知っていればもっと短くできたかもしれない)

中盤でちょっと長いな…と感じたこともあったけれど、集中してプレイが続けられたのは、美しく雄大な世界と魅力的なキャラクター達によって次々と謎が解き明かされていく脚本に引き込まれたから。

特に序盤から神経を削られるストーリー展開で、主人公たちの怒りや悲しさという感情がプレイヤー側とリンクしやすく、気付いたら物語の世界に入りこんでいた。システムや世界観はよくできていても、物語に入っていけないことは多々あるので、この導入は見事だったと思う。

そして本格的に冒険がはじまる段階で、「機神兵に復讐する。モナドは機神兵を殲滅できる」ということしかわからない。機神兵は何故人を襲うのか、そして機神兵の中にいる顔のついた機体は何者なのか。大きな謎を抱えたまま進むことになる。

後半まで進めないと疑問は解消されないけれど、どれだけ相手が理不尽でも共存しようとする姿勢には共感したし、最終的に殆どの疑問と伏線を回収してエンディングを迎えることができるので達成感と満足感が非常に強い。

そしてなんといっても雄大で広大なフィールドを駆け巡るのが爽快だった。敵はシンボルで見えているので、避けることが可能。どこまでも走っていられる。死ぬまでに一度は見たい景色みたいなレベルで絶景が広がっており、画面の前で何度も感嘆の声がもれた。(ただちょっとマップは広すぎるけれど)

特別綺麗なグラフィックではないけれど、雄大な景色の中を冒険していく
お気に入りキャラのダンバン。ドラゴンボールのベジータと同じ声優さんで、道中ずっとベジータさんに元気をもらってた。

膨大な情報量

情報量の多さがやや変態的なレベルだったように感じる。相互に依存関係がある情報が多すぎてクリアしてもなお、全てのパラメーターへの理解が追いついていない。攻撃力・守備力といったRPGでは一般的な指標から、テンションや性格、アーツ、チェイン、キズナなどなど。

さらに敵へのダメージに影響与える攻撃力が、物理と魔法にわかれているのはいいとして、最低攻撃力と最大攻撃力の値があったりする。最低攻撃力は強いけど、最大攻撃力は下がる時に装備更新すべきか迷った。

聞き慣れないバフ・デバフの用語もたくさんあった。それでも戦闘にはテッパンの型が存在しており、この型の理解さえしてしまえば、あとは細かい仕様は理解せずとも楽しむことができた。むしろ慣れてくると戦闘はとても爽快で連戦もそれほど苦にならない。ただ自分のレベル以上の敵は基本的に強めに作ってあり、5レベル以上差が開いていると攻撃が殆ど当たらない。一部の機神兵は転倒していないとダメージが通らなかったり序盤からなかなかの難易度のバトルを強いられる。気を抜くとあっという間に全滅するけれど、全滅後の復活が早く、影響も小さいので、個人的にはカジュアルに全滅していくRPGと割り切ってプレイしていた。

パラメーターに加えて、アイテムの種類・クエストも非常に多い。MMOのプレイ経験から膨大なクエスト(作業)に関してある程度の免疫はあるつもりだけれど、クエストの報酬がクエストであり簡単には遊び尽くせないボリュームがあった。

ロード時間は、短いと実感するレベルで快適

RPGを遊んでいると、フィールド間の移動や戦闘への移行などでロード時間がしばしば発生するが、本作では非常に短いロード時間で快適にプレイできた。広大なマップもファストトラベルを使えば難なく移動でき、しかもポイントを選択してから動けるようになるまでの時間が殆どないのは、快適だった。このあたり任天堂が発売するゲームっぽいなと感じた。(概ね任天堂から出てくるゲームはプレイ感覚までしっかりと考えて作られていることが多いように思う。)

6人のコンポーザーが手掛ける名曲の数々

下村陽子さんの『メインテーマ』、ACE+さんの『敵との対峙』『ガウル平原』あたりはゲーム史に残る名曲といっていいレベル。任天堂の公式チャネルが3DS版の発売時に、スタジオライブの模様を公開していたので貼っておく。

さらに調べていたら、任天堂の公式サイトに、今は亡き岩田さんとコンポーザー陣の座談会の記事も発見色々と取り留めもなく書き連ねたけれど、主業のFFXIVがナギ節に入ってくれたおかげて、久しぶりにどっぷりと物語に浸れて幸せな時間だった。まだやり残した要素があるので、もうしばらくプレイしてみるのと、2やクロスという続編?も出ているので、そのうち時間を見つけて遊んでみたい。(WiiU動くかな…)