古き良きRPGの最新版 オクトパストラベラー レビュー

8人の主人公が紡ぐ物語や、HDドットと言われるグラフィック表現などに注目が集まったオクトパストラベラー。ダウンロード版を合わせて世界累計100万本を出荷したとか。かつてドラクエやFF、ロマサガなどを夢中でプレイした層をピンポイントで狙っているあたり、企画及びマーケティングスタッフの大勝利なのではないだろうか。FFロマサガといったスクエニの看板タイトルと共に育ってきた私も、発売のアナウンスがあった頃から、楽しみにしていた。先日ようやく隠しボスまで突破したのでレビューしていく。

折り重なる物語と真実

8人の主人公はそれぞれ違う目的で旅に出る。あるものは、知識の探求であるものは父の仇を討つために。一話一話だけみると小話の連続だが8人分の物語が積み重なると、大きなうねりになって行く。ただし、各主人公の物語でエンディングを見ただけだと物語の核心には至れない。各々の主人公の繋がりや共に旅する理由は首をかしげたくなる場面もあった。それでも最終的に各々の物語の先にある真実に納得感はあり、8人のメンバーはそこに至るために導かれた者たちだったのだなと理解はできた。隠しエリアにいくとテキストで一気に伏線が回収されていくあたり、作り手はもう少し、8人の物語を広げて描きたかったのかもしれない。

物語を彩る音楽と演出

音楽の印象も非常に強い。というか、このゲームを人に薦めるなら一番のポイントに音楽を挙げる。サントラを購入し毎日通勤時間や仕事中に聴いている。数年後プレイヤーの記憶に残るのはこの音楽あってだと思う。8人の主人公ごとのテーマ曲や、地域ごとに異なるフィールド曲。進行度に応じて変わる戦闘曲など、どの曲も非常に素晴らしかった。何がそんなによかったのか。

RPGの王道

バトル曲など、作り手も相当なRPG好き、もしくはかなり研究して作っているのではないかと思うくらい、どこかで聞いたことのあるRPG曲の最新版だった。「そうそうRPG好きはこの音楽でテンションあがります。」という具合にわかってる感がすごかった。

情景・感情とのリンク

砂漠、森、雪国、と見えている情景に楽器や曲調がリンクしていることはもちろん、ストーリー展開上で主人公の心情が音楽に反映され、感情移入度が高まった。の2点。特に2つ目。これはあとから気づいたが、各章の物語のクライマックス→ボスバトル部分、音楽がつながっていたりする。通常プレイしているとあまり気づかない部分にも感情移入度を高める仕組みが非常に丁寧に作られている印象を受けた。システムの理解度が低い序盤を抜けて、中盤以降で仕組みに気付き、俄然面白くなった。でも最終盤は各キャラにどのジョブで、どのアビリティを装備させるのか、選択肢がありすぎて方針を定めるのが大変だった。

低くない難易度

隠しボスが非常に強力で3〜4回全滅した。到達するまでに毎回時間もかかるし、ボス戦も考えながら戦っていると1時間くらいは普通に戦えるという硬派な難易度になっていた。結果的に倒すまでに装備集めやレベリング、戦略の練り直しなどかなりの時間を要した。この難易度は、これまでRPGに触れてこなかった層には厳しいかもしれない。でもFF3のラストダンジョン(突入からクリアまで最低3時間くらいかかる)を経験している世代として、「そうそうこのくらい難しくないと。」と思う自分もいる。なんだかんだ、このゲームに興味をもった人はクリアしている人が多いかもしれない。

まとめ

古き良きRPGの最新作。子供の頃、学校から帰ると時間の許す限りドット絵の世界に入り浸っていた世代(FC/SFC/GB時代の、FFやサガ・ロマサガをやりこんだ人)は、思い出補正も含め間違いなく楽しめる良作だった。むしろそれ以外の世代にどのように受け入れられるのか気になるところだけれど、オクトパストラベラーが面白いと思った若い世代のプレイヤーにはFF1~6やロマサガ1~3もプレイしてみてもらいたい。それから本作がSwitchから発売されたことも評価したい。家ではじっくりプレイ、外ではレベリングというプレイスタイルで効率的に進めることができた。Switch単体でのプレイだと文字やメニューまわりが小さくなりすぎて読みづらいけれど、この世界を持ち出して、お気に入りの場所でプレイができるのはなんともありがたかった。