割り切った先にある熱中 二ノ国Ⅱ レヴァナントキングダム レビュー

先代の王の急死によって、王位を継承することになった少年エバン。ところが王位継承のタイミングで対立する民族のクーデターにあい国を追われることに。命からがら国を脱出したエバンは、仲間と共に誰もが笑って過ごせる新しい国を作ることを決意するー。

世界の平和を脅かす存在。成長。ボスの前のセーブポイント。二ノ国IIはそんなJRPGの教科書的な立て付けながらも、王国作りなどの新しい要素によって中毒性の高い作品に仕上がっていた。約110時間ほどプレイし、王国を最大に拡張し終えたのでレビューしていく。

世界観とマッチする個性的なキャラクター達

▲世界観とマッチする個性的なキャラクター達

二ノ国IIを語る上でまず外せないのが世界観とキャラクター達の魅力だろう。元スタジオジブリのスタッフが手がける個性的なキャラクターとやはり数々のジブリ作品に携わっていた久石譲の音楽は世界観に非常によくマッチしていた。子供の頃憧れたジブリ映画に出てくる登場人物たちに囲まれながら冒険するのは感慨深かった。さらにNPC(※1)にも殆ど同じ人がおらず、一人ひとり個性があるのには驚いた。

※1 NPC (エヌ・ピー・シー None Player Characterの略)
プレイヤーが操作する以外のキャラクター。街にいる人など。基本的には同じグラフィックの使い回しが多い。

二ノ国II レヴァナントキングダム 世界観とマッチする個性的なキャラクター達
▲どこか既視感のあるワンシーン。ジブリ映画の物語を体験している感覚になる

個性的なキャラクター達を集め、国を育てるキングダムモード

▲王国を大きくしていく中毒性高し

NPC一人ひとりに設定された個性は、彼らを集め、国を大きくしていくというキングダムモードに繋がっている。集めた国民からの税収(キングダムゴールド)で国を成長させていくキングダムモードは、次から次へとやることがあり、中毒性が非常に高かった。単なるサブ要素ではなく、エバン達のレベルを上げて強い敵を倒していくのか、王国を拡大し集まった資源を元に施設を建設・強化し、より強力な武器防具を生産して進めていくのかという選択肢にもなっている。時間を忘れて夢中で国造りをしていることがしばしばあった。

RPG初心者でも遊びやすい工夫の数々

次の目的地を示す場所には必ず目印があり、この先にボスがいるのかな。と思う場所にはほぼ確実にセーブポイントがある。さらにすべての主要スポットには必ずテレポート(瞬間移動)可能。エリア移動時のロード時間も短めで、テンポよく快適に遊ぶための配慮が徹底していた。プレイに集中できるようにしっかりと作ってあるので、物語の世界に入り込みやすい。小難しい謎解き要素もなく、RPGというジャンルに苦手意識がある人でも難なくプレイすることが可能だ。

戦闘の自由度と敷居の低さ

▲シンボルエンカウント(※2)なので、敵のレベルを見て戦う相手を選べる

敵との戦闘も初心者/経験者どちらにも対応できる仕様になっていた。戦闘の開始前に敵のおおよその強さがわかるし、何も考えずにボタン連打でも結構遊べてしまう。ちゃんと仕組みを理解し戦い方を考えることで、有利に立ち回ることも可能と戦闘の仕組みには自由度もありつつ遊びやすく考えられていた。

※2 シンボルエンカウント
見えている敵に触れるもしくは近づくことで戦闘がはじまるシステム

国民スカウトを軸としたやり込み要素

私がプレイした時は、クリア時点で、王国のレベルは最大にならなかった。エンディングを見た後も、どうしても最大になった王国見たさに、プレイを続けた。王国が最大になるさらに、夢幻回廊という高難易度ダンジョンが待ち構えていた。レベル65程度では最深部にいるボスにほぼ歯が立たなかった。この夢幻回廊は周回前提になっており、レアな素材や武器防具を狙って何度も挑戦することになったが、膨大な素材や武器防具を集めパーティを強くしていくのが最後まで楽しかった。

割り切った先にある熱中と疑問点

▲街並みのグラフィックにも温かみがある

進行の自由度やオンラインによる共同プレイ、いつでもどこでも手軽にプレイできる体験など人々が面白い・遊びたいと感じるセオリーは時代と共に変化している。この二ノ国Ⅱ レヴァナントキングダムは、もはや伝統芸能ともいうべき日本のRPGの文法・作法を愚直に守りながらに最新の技術で肉付けしていった作品だった。シンプルな一本道のストーリーでプレイヤーによる遊び方のバリエーションは多くないし、国造りという要素に変にリアリティを求めると、各国から優秀な人材を無邪気に引き抜きまくる主人公に、疑問が湧いてきたりもする。

そこをそういうゲームなんだと割り切って楽しめるかどうか。恐らく好みが分かれるところであろう。

ジャンルや世界観、雰囲気の近いゲームとして、2017年夏に発売されたドラクエXIがある。単純にどちらが優れた作品だったか比較はできないが、個人的にドラクエXI特有の思い出補正というバイアスを差し引くと、熱中度は二ノ国IIの方が高かった。(昔のドラクエを知らない子供の世代似純粋にどちらがはまったか聞いてみたい)

ただいくつか気になったこともある。RPG好きからすると、キャラクターの性能差はもう少し欲しかった。同じ武器系統が二人ずついるので、片方のPTは殆ど使うことなく終わってしまったのがやや寂しい。それから発売ハードがコアゲーマーの主戦場であるPS4とSteamで本当によかったのかもやや疑問だ。メインターゲットが子供なのだとしたらNintendo Switchがありえたのではないかと思う。(開発スタート当初はSwitchのここまでの広がりは予見できなかったのかもしれない)

とはいえ、割り切った先にある中毒性・熱中度は非常に高い。前作を未プレイでも問題なく楽しめる作品に仕上がっているので、JRPGを遊びたい人、久しぶりにのんびりとRPGを遊びたい人、RPGというジャンルに苦手意識のある人には是非手にとってみてほしい。(普段ゲームはしないけど、志田未来や西島秀俊のファンでもたぶん……楽しめるハズ)