FF16はFFシリーズ史上最高傑作だったのか?歴代FFプレイヤーが語るFF16。

※本記事はFF16のクリア後のレビュー記事となっています。ネタバレはしないよう、ストーリーの核心にふれる内容やスクリーンショットは含めていませんが、ご注意ください。

FF14が落ち着いたので、FF16をようやくプレイすることができた。現在1週目のエンディングを迎え、トロフィーのコンプリート率75%という進捗。(全クエスト、全モブ、DLC第一弾含めてクリア済み)

ファミコン時代からのFFプレイヤーであり、FF14に至っては10年来のヘビーユーザーとして、シリーズ最新作はどうだったのか。過去最高傑作になれたのかを検証していく。

以下、極力ネタバレは回避するが、何も知りたくない人は、読まないことをおすすめする。

演出全振り

今回のFFのメインコンテンツは、兎にも角にも「演出」だった。不遇の環境で復讐を糧に生きる主人公クライヴを追体験していく物語が圧倒的な演出で表現されていた。ここでいう「演出」とは、一つの出来事や過程をどれだけ惹きのある内容で魅せるかという意味で使っている。

特に冒頭の2時間の体験が凄い。謎の召喚獣バドルに始まり、超巨大なタイタンとシヴァがやりあっていたと思ったら、青年期に戻されて、バトルの連続からの冒頭の謎の召喚獣バトルに戻り、事の顛末を知って、タイトルが出てくる。色々とRPGを遊んできたけど、本作のようなすさまじい熱量をもった始まり方をする作品は初めてだった。

ただクリアした今、冷静に振り返ると、物語の構成要素自体にそれほどの目新しさはない。ないというか、FF14と似たような勧善懲悪の構造を持っていた(ように思う)し、悪側のやろうとしていることが、どうにも判然としなかった。

ので、ストーリーだけだと、それほど尖っていた訳でもないのだけれど、PS5というハードの進化もあって、ずば抜けて演出の力を感じた。地面が揺れる時にコントローラーに伝わる振動など以前からあったけれど、細かい微動も含めて再現されていて、体験の質を高めている。

FFの基本アセットから、クリスタル召喚獣を軸に組み立てた結果、かつてない規模の巨大なクリスタルと、圧倒的な迫力の召喚獣バトルが生み出されたというところだろうか。(召喚獣同士のバトルって過去のFFにあったっけ?)

想像を超える大きさだったクリスタル。思わず、でか…と声がでる。
迫力満点の召喚獣バトル。息する暇がないし、ボタン連打しすぎてコントローラー壊れるかと思った。演出過多で終わるとどっと疲労感がある。

ファミコン時代の召喚獣は、自分のキャラクターより気持ち大きい程度だったので、今回の召喚獣の大きさや表現は感慨深かった。登場する召喚獣の造形も、極端な改変がされておらず、比較的初期のFFシリーズの造形から発展していて好感を持った。(このあたりは、制作陣の過去作へのリスペクトが感じられる)

上記2つ以外の演出要素として、キャラクターはもちろん犬の表情や仕草、声優陣の見事な演技、フィールドのグラフィックや炎の表現も、見事でしばしばプレイの手が止まったし、思わず目頭が熱くなる場面もあった。圧倒的なグラフィックはFFのナンバリングお決まりの要素の一つとなってはいるけれど、透明な涙の流れ方や、風でかすかに揺れる毛の表現には確実な進化を感じた。

髪の毛のグラフィックが、極めてリアルに。
犬の毛並みもコストのかけ方がすごい


これら圧倒的なグラフィックを既存のゲームエンジンを使わずに独自に開発してしまうあたりが良くも悪くもスクエニっぽい。(ゲームエンジンについては諸説あります)

簡単操作でも爽快感のあるバトル

演出以外にもうひとつ本作のメインになっていたのはバトルだった。シンプルな操作(だと思う)ながら、相手の予備動作を見極めて、攻撃か回避かを選択し駆け引きを楽しめる。あまりアクションゲームが得意でない自分でも、エンディングまでに全滅したのは数回程度という難易度だった。

ただ、単純なボタン連打でゴリ押せるほど簡単ではなく、相手の予備動作を見て回避するという本作の戦闘における基本所作を事前に知っているか、身につくかどうかで、爽快感や難易度は大きく変わってきそうである。

予備動作を見るのは、(自分の中での少ない経験値でいうと)モンスターハンターとほぼ一緒。モンスターハンターよりも予備動作がわかりやすく、はるかに回避がしやすく調整されている印象だった。

技のエフェクトが炸裂しすぎて、相手の予備動作が見えない。ということはしばしばあったけれどなんとかなるレベルだった。相手の動作を見切って回避してから反撃を決め、そのまま連続して必殺技を重ねていき倒しきった時の気持ちよさは、これまでのFFシリーズではあまり経験したことのないものだった。

爽快感とともに、このバトルはプレイヤーが頭を使う(自分で使う技能を選択する)数少ないコンテンツだった。フェニックスにするのかガルーダにするのかなどなど。ただし、1週目の時点では、全てを網羅的に駆使できなくてもなんとかなってしまうのがやや残念だった。

賛否が分かれそうなストーリー

演出は文句のつけようがないレベルで素晴らしかったが、肝心の物語については、賛否がわかれそうである。ダークファンタジーということで世界設定が暗い。また「奴隷」というテーマも重いため、鬱々とした雰囲気が漂う。

決してつまらないストーリーだったという訳ではないしけれど、ストーリーを構成する要素に、それほど厚みがなかったことはやや気になった。いくつかの根本的な疑問が解消されていない気がして、アルティマニアを買ってみたけれど、明らかにされていなかった。

これじゃないというほど否ではないけれど、絶賛できるストーリーではなく、もやもやが残っている。

演出全振りのための断捨離

今回のFFは以下様々な要素が存在していなかった。(あるいは物量が少なかった)

  • 主人公以外のプレイアブルキャラがほぼいない
  • オープンワールドではない
  • 魔法がごく一部のみ
  • 武器が剣のみ
  • メインステータスに関わる装備更新が3箇所
  • クライヴの見た目が一緒
  • クエストが非常に少ない
  • 対応ハードがPS5のみ

FFや昨今のRPGで一般的なこれらの要素にコストを割かず、演出やグラフィックのリアリティを追求したかったのかなと想像する。その結果に完全に1本道で、遊びの幅は非常に狭いゲームが出来上がっている。

戦闘さえもおまけにしてしまうモードがあるあたりで、とにかくストーリーと演出を楽しんでほしいという制作側の意図が見える。

個人的に、PS5以外のハードにも同時に展開すればよいのになとは思ったけれど、遊びの幅を広げるために、開発期間が伸びたり、バグが頻出するよりは全然よい。

1本道過ぎだし、全然楽しめなかったという人はFF14をどうぞ。というメッセージのようにも感じた。

ちゃんと「ファイナルファンタジー」だったBGM

ゲーム本編を盛り上げるBGMが過去のオフラインのFFの中で、最も「ファイナルファンタジー」だった。派手さはないけれど、世界観とのマッチングは素晴らしかった。オープニングのダークなアレンジのプレリュードに、これから始まる物語を予見したし、大事な場面で流れるFFメインテーマのアレンジ曲には素直に感動した。このあたりの選曲やアレンジは、制作陣の過去のFFに対するリスペクトが顕現しているというか、FFとしてのブランドを作るためにこの選択をしたのか。外からははわからないけれど、FFの最新作だから買った層には嬉しい特典だった。

そしてメインコンポーザーがFF14と同じ祖堅さんだったので、戦闘のBGMやフィールドのBGMにはどこかで聴いたことがあるテイストの曲もあったように感じる。

それにしてもiTunes Storeでサントラを買ってみたら181曲(8時間分)も入っていて驚いた。1本のゲームを作るのに、そんなにBGMって必要だったっけ?と思うほど。これをCDで発売するのはちょっと頭おかしいと思ってしまったのは私だけだろうか。

181曲もあるので、お気に入り曲は別のエントリーとしてまとめることにする。

関連リンク

FF16の音楽については、サウンドチームの3名のインタビューがとても参考になる
https://natalie.mu/music/pp/ff16ost

FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/FFXVI/ost/

ハードの世代が変わったFFの個人的評価

PS5で発売された本作は、ハードによって大幅に演出面が強化されていた印象だった。FFはハードの世代とともに進化してきた。ハードが変わったFFは全てプレイしてきたので、このタイミングで振り返ってみる。

  • FF4(1991):初のスーパーファミコンタイトル。扱える色数が増えたことで、ドットに陰影が付き、表現力が向上。音楽も音の数が一気に増えたことで俄然迫力が増した。飛空艇に乗った時にグラフィックが変化するのが衝撃的だった。戦闘に背景が導入されたのも本作だった。ストーリー色の強い作品で、長らく個人的にストーリー系FFのNo1作品だった。
  • FF7(1997):初のプレイステーション(以下PS)タイトル。CD-ROM 3枚組。この作品を遊ぶためにプレステを購入した。当時は発売前からプレステが品薄になり、手に入れるのに苦労した。3Dポリゴンで描かれた世界やキャラクターに釘付けになった。シリーズで初めてムービーによるカットシーンが展開され、その綺麗なグラフィックに衝撃を受けた。グラフィックの衝撃という意味では、FF4も凄かったけれど、FF7がNo1だった。(召喚獣を呼び出した時の演出は長すぎたと思うけど、宇宙まで行くのか!と興奮した。)
  • FF10(2001):初のPS2タイトル。ここからDVD-ROMになったはず。ザナルカンドにて。の音楽がとにかく印象に残った作品。海や水辺が綺麗だったことを鮮明に記憶している。全体的に正当進化していた。
  • FF13(2009):初のPS3タイトル。グラフィックが一段と進化し、当時のPS3タイトルの中でも屈指のクオリティだった。コマンド選択バトルながら、演出面の強化が印象的だった。
  • FF14(2014):初のPS4タイトル。フルHDによる色鮮やかな世界と、細部まで作り込める自キャラ。そして様々なメンバーと冒険できる感覚が新鮮だった。MMOながら、重厚なストーリーと、これまでのFF要素が盛り沢山で現在も新規プレイヤーが増え続けている。

まとめ:ストーリーに引き込む力は過去最高

色々書いてきたが、FFの過去作のほとんどをプレイしてきたファンとしては、非常に楽しくプレイすることができた。序盤から思いきり引き込まれ、そのままジェットコースターにのったように、駆け抜けてしまった。

何をもって最高傑作と論じるかは、難しいところだが、ストーリーに引き込む演出は、過去最高のクオリティだった。そして戦闘も相当面白い。FF14を除けば過去のFFの中で最も戦闘が楽しめた。

FF16は過去最高傑作だったか。という問いに対しては、ストーリー自体や、遊びの幅、協力して挑むバトルコンテンツという意味ではFF14が勝り、ハードの世代交代による進化の衝撃度はFF7の方が上だったけれど、ドラマティックな演出は圧倒的だった。

それでも総合すると、FF14の次点くらいには傑作だったので、オフライン専用のFFシリーズの中では最高傑作だったと言ってもいいかもしれない。

FF16をオススメできる人とできない人

残念ながら定価9,900円分のボリュームは感じず、もう終わっちまった…。というのが本音である。(2週目を遊ぶとまた全然違う印象なのかもしれないけど)全体的にボリューム不足は感じたけれど、演出面の火力は相当高いので、過去作を遊んだことのない人でも十分面白い作品に仕上がっている。

FFは過去作と物語は繋がっておらず1作で毎回完結しているので、ドラマティックなストーリー展開に興味があれば、ぜひFF自体初見の人にもプレイしてもらいたい。

もちろん、FF14のストーリーや世界設定が好きな人は、前廣さんたちの最新作をぜひプレイしてほしい。

逆にオープンワールドが好きだったり圧倒的な情報量から自分で進む道を選択しながらじっくり遊びたい人にとっては一瞬で終わってしまって物足りなく感じるかもしれない。

オススメできる人

  • ファイナルファンタジーシリーズのファン
    • シリーズのファンにしかわからない要素あり。
    • 往年のファンのみ、ピンと来る要素も最後の方にあり。
  • 特にFF14のストーリーが好きな人
    • 蒼天のイシュガルド~紅蓮のリベレーターが好きなら楽しめる
  • シリーズは未経験でもドラマティックな展開が好きな人
    • 主人公たちの織りなす物語と演出に力点が置かれているので、FFシリーズ未経験でも全く問題なし

オススメできない人

  • アクションゲームメインでプレイしている人
    • 楽しめるけど物足りないかも。
    • 死にゲーのような劣悪な難易度はなし
  • 残酷な描写が苦手な人
    • CERO 「D」なので、それなりに目を背けたくなる残虐なシーンあり
  • オープンワールドものが好き。
  • 自由なプレイスタイルで楽しみたい人
    • マップはそれなりに広いけれどストーリーが1本道
    • 戦闘とストーリー以外にやることがほぼない

遊んでみようかなと思った人はDisc版が安くなっているのでおすすめです。

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