ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILDレビュー

ゼルダの新作をクリアした。発売日に本体と同時に購入後、GWの連休を使って一気にクリアした。

みなが口を揃えて言うように、最高に面白かった。ゲーム史上に残る傑作と言いたくなるレベルでよく作り込まれていた。一人でも多くの人にプレイして欲しいので、何がそんなに面白かったのか、一言では語り尽くせない魅力についてストーリーのネタバレなしでまとめてみる。

冒険とはこういうことだった

RPGをよくプレイしていると、だいたいどのゲームも「冒険」するけれど、極端に言ってしまうと、シナリオライターが描いた筋書きの追体験をしていく紙芝居になっているものが少なくない。(もちろんそれでも十分面白いゲームもある)今回のゼルダは冒頭、旅の目的とゲームを遊ぶ上でのシンプルなルールの説明があり、広大なフィールドへと放り出される。自分の行く場所のヒントや目印があるというわけではなく、大きなゴールだけ示され、そこに向かう方法やルートは特に指示されない。したがって世界を観察し、考える。考えた結果どうするかというアプローチは本当に100人いたら100通りの冒険になるんじゃないかと思う。進むべき方向の自由度が高いだけだと何をすべきか、見失いがちになる。ところが本作では、行先や次にやることのヒントになる情報がフィールドのあちこちに大小様々な粒度で転がっている。一つのアテが外れても必ず次がある。という状況で気付いたら時間を忘れて没頭してしまう面白さがあった。

見て、聞いて体感する世界

丘陵に沈む夕日、風になびく草原。勇壮な山々から透き通る水が湧き出る池。ゲームの中とわかっていながらもどれも思わず足をとめて、眺めてしまう光景だった。加えて聞こえてくる風の音、雨の音、虫の声が世界への没入感を引き立たせてくれる。リアル路線とは違う絵作りながら、グラフィックと音が見事に自然を再現しており、冒険者の気持ちを盛り上げてくれる。草原を波打ちながら吹きぬけていく風は一見の価値がある。(音楽はYoutube等にもあがっている。)

自然の法則に従った謎解き

質量のあるものは、上から下に落ちる。鉄は磁石でつかめる。木や布は燃える。水は氷る。という自然界に当たり前に存在している法則を原則としたギミックが満載で謎解きが苦にならなかった。自然の法則が前提となっていることで、謎解きに特別飛躍的な思考回路が必要なく、今起こっている現場の状況を分析して、論理的に解を組立てていける面白さがあった。普段ゲームを遊んでいて、わからないことがあると、効率を重視して、攻略サイトを見てしまうけれど、今作だけはほとんど攻略サイトを見ないでクリアした。途中から謎を解いていくのが快感になっていった気がする。難易度としては、おそらく小学校高学年の知識があれば十分理解できるので、子供がいたら一緒に考えながらプレイしてみると面白そうだ。

簡単ではない操作とプレイヤースキルという変数

謎解きのとっつきやすさに対して、操作は結構複雑だった。特に戦闘は、状況によってメインの武器を持ち替えたり、弓に変更したり。序盤はかなり苦戦した。それでも途中途中に現れるボスに対峙していくと、自然にプレイヤースキルが向上するように絶妙に調整されていた。この、ゲーム内には存在しない「プレイヤースキル」という変数が場合によってはクリアまでの時間を大幅に短縮できたり、やり込める要素として設計されているのが面白さに拍車をかけていたように思う。

という訳で、最近おもしろいゲームないなぁと思っているゲーム好きの人はもちろん、普段ワクワクしていないな…というゲームをやらない人にも是非お薦めしたい。そしてプレイする時はできるだけ、攻略情報を見ずに自分の目で観察し、考えながらプレイすることをおすすめする。

以下ゼルダのゲーム内容とは関係ない余談。

おそらくスーパーマリオシリーズがSwitchのローンチタイトル(本体発売と同時に発売されるソフト)にあったら私はゼルダを選ばなかった。

過去作のゼルダをプレイして持っていた印象は、「難しいけど面白い」だったから。まず難しかった。という難易度が印象に残っていた。もちろん難易度の高さは悪ではないけれど、Switchというハードでどんな体験ができるのかを知るのに、小難しさに頭を悩ませたくなかった。

1本目に何を出すか。というのはそのハードの命運を左右する。そういう意味では、任天堂は戦略的にローンチタイトルにゼルダというカードを切ってきた。他の魅力的なタイトルが出る前に、とにかく気合いを入れて作ったから、過去作で難しいという印象を持っている人も、はじめて遊ぶ人も、まずはこのゼルダを遊んでみてくれ。と。